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実行予算の属人化はなぜ起きる? 解消に向けた3つのステップを解説

実行予算の属人化はなぜ起きる? 解消に向けた3つのステップを解説

「実行予算の作成は○○さんにしかできない」「担当者が休むと工事の原価がわからなくなる」——建設会社でよく聞く話です。

いわゆる「属人化」の問題。ベテラン社員の退職が進む中、「あの人がいないと回らない」という状態は、もはや経営リスクと言ってよいでしょう。

この記事では、実行予算業務がなぜ属人化しやすいのか整理した上で、解消に向けた具体的なステップを紹介します。

 

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【目次】

1. なぜ実行予算は「属人化」しやすいのか
 1-1. エクセル運用の「自由度」が裏目に出る
 1-2. 「経験とカン」は引き継げない
 1-3. 実務で属人化しやすい4つのポイント

2. 実行予算の属人化を解消する3つのステップ
 2-1. ステップ1:業務プロセスとルールを標準化する
 2-2. ステップ2:単価マスター・テンプレートを共有資産にする
 2-3. ステップ3:実行予算システムで「誰でもできる」仕組みをつくる

3. システム導入で現場はどう変わる?
 3-1. 作業時間が減り、ミスも減る
 3-2. 若手が育ちやすくなる
 3-3. 利益が「見える化」される

4. 属人化解消を定着させるコツ
 4-1. スモールスタートで始める
 4-2. 継続的な改善と教育を仕組み化する

5. まとめ

 

なぜ実行予算は「属人化」しやすいのか

建設業の中でも、実行予算の作成は特に属人化が起きやすい業務です。理由は大きく2つあります。

エクセル運用の「自由度」が裏目に出る

多くの建設会社で、実行予算の作成にエクセルが使われています。追加コストなしで自由にフォーマットを作れる——これ自体は大きなメリットですが、実はこの「自由度の高さ」が属人化の温床になりがちです。

担当者ごとにフォーマットがバラバラ。計算式の組み方も人それぞれ。独自のマクロを組み込んでいるケースもあるでしょう。そうなると、作成した本人以外はファイルの中身を理解できません。担当者が異動や退職をすれば、後任者はファイルの構造を解読するところからスタートです。

「経験とカン」は引き継げない

実行予算の精度は工事の利益を左右します。だからこそ、現場経験が豊富なベテラン社員が予算作成を担うケースが多いわけですが、ここにも落とし穴があります。

ベテラン社員は「この工種ならこのくらいの原価になる」と判断できます。ただ、その根拠は本人の頭の中にしかありません。ノウハウが共有されないまま、「あの人に聞かないとわからない」という状態が固定化されていく。これが属人化の典型的なパターンです。

実務で属人化しやすい4つのポイント

実行予算の作成には、担当者の判断が求められる場面が多くあります。特に属人化しやすいのは以下のようなポイントです。

外注費の査定
下請け業者から見積を取っても、その金額をそのまま採用するわけではありません。「この業者ならもう少し下げられる」「この工種は相場より高い」といった判断が入ります。この査定基準が担当者の頭の中にしかないと、属人化の原因になります。

仮設費・共通仮設費の按分
足場や仮囲い、現場事務所の費用など、仮設費の見積り方は現場条件によって大きく変わります。複数工区にまたがる場合の按分方法も、明確なルールがないと担当者任せになりがちです。

歩掛りの補正
実行予算を組む際は、積算で使った歩掛りを現場条件に合わせて見直す必要があります。「狭い現場だから1.2倍」「搬入経路が悪いから割増し」といった補正判断は、経験がないと難しい部分です。どういう条件でどの程度補正するか、基準が共有されていないと属人化につながります。

設計変更時の増減調整
工事が進む中で設計変更が発生することがあります。変更のたびに予算をどう組み替えるか、どの費目に増減を反映させるか。ここにルールがないと、担当者ごとにやり方がバラバラになり、後から見たときに何がどう変わったのかわからなくなります。

 

実行予算の属人化を解消する3つのステップ

属人化の解消は、一気に進めようとするとうまくいきません。焦らず、段階を踏んで取り組むのがコツです。

ステップ1:業務プロセスとルールを標準化する

最初に取り組むべきは、実行予算作成の「やり方」を揃えること。具体的には、予算書のフォーマットを統一する工種コードや勘定科目の分類を全社で共通化する予算作成のタイミングを決める、といったルールを定めます。

ポイントは、最初から完璧を目指さないこと。シンプルなルールから始めて、運用しながら調整していくほうがうまくいきます。

ステップ2:単価マスター・テンプレートを共有資産にする

「担当者によって使う単価が違う」という問題も、属人化の大きな原因です。社内で使用する標準単価を「マスターデータ」として整備し、全員が同じものを参照するようにしましょう。

実行予算書のテンプレートも、共有資産として整えておきます。よく使う工種や費目をあらかじめ組み込んでおけば、担当者がゼロから作る必要はありません。ベテラン社員の頭の中にあるノウハウを、テンプレートやマスターデータという「形」で残す。これが属人化を防ぐ鍵になります。

ステップ3:実行予算システムで「誰でもできる」仕組みをつくる

ルールの整備やマスターデータの共有化だけでも効果はあります。ただ、エクセル運用には限界があるのも事実です。ファイルのバージョン管理、複数案件の横断的な把握、設計変更への対応——工事の数が増えるほど、管理の手間は膨らんでいきます。

そこで検討したいのが、専用システムの導入です。見積・実行予算システム『BeingBudget』(ビーイングバジェット)のようなツールを使えば、予算書の様式が自動的に統一され、マスター単価も一元管理できます。土木工事積算システム『Gaia Cloud』(ガイア クラウド)と連携すれば、積算データをそのまま実行予算に取り込めるので、転記作業もミスも防げます。

 

システム導入で現場はどう変わる?

属人化を解消し、システムを導入すると、現場には具体的にどんな変化が起きるのでしょうか。

作業時間が減り、ミスも減る

システムを導入すれば、積算データの転記や計算式の設定といった手作業の多くを省けます。設計変更があっても、変更箇所を入力すれば関連する数値が連動して更新される。手作業で起きがちな転記ミスや計算ミスも、ぐっと減ります。

浮いた時間を原価の精査や施工方法の検討に充てられるようになれば、工事全体の質も上がるでしょう。

若手が育ちやすくなる

標準化されたプロセスとシステムがあれば、若手社員の立ち上がりも早くなります。テンプレートや過去データを参照しながら自分で予算を組む経験を積める。わからないことがあれば、システム上のデータを見ながらベテランに質問できる。「見て覚えろ」から「データを見ながら学ぶ」への転換です。

利益が「見える化」される

経営の視点では、原価の「見える化」が大きなメリットになります。複数案件の収支をリアルタイムで把握でき、数字に基づいた判断ができるようになる。「なんとなく利益が出ている気がする」から「どの案件でいくら利益が出ているか」へ。この違いは大きいはずです。

 

属人化解消を定着させるコツ

取り組みを始めても、現場に根づかなければ意味がありません。定着させるためのコツを2つ紹介します。

スモールスタートで始める

「来月から全面切り替え」というやり方は、現場の抵抗を招きやすいアプローチです。まずは特定の部署や案件で試験的に導入し、課題を洗い出す。そこから徐々に展開範囲を広げていく。この「スモールスタート」が、定着への近道です。

継続的な改善と教育を仕組み化する

システムは導入して終わりではありません。定期的に使い方の研修を行い、新入社員向けのマニュアルも整備する。運用ルールも、現場の声を聞きながら見直していく。この姿勢が、「使われるシステム」と「守られるルール」を作ります。

 

まとめ

実行予算の属人化は、エクセルの自由な運用や「経験とカン」に頼る業務の進め方など、さまざまな要因が重なって生じます。外注費の査定、仮設費の按分、歩掛りの補正、設計変更時の調整——実務の随所に属人化しやすいポイントが潜んでいます。

解消するには、まず業務プロセスとルールを標準化する。次に単価マスターやテンプレートを共有資産として整備する。その上で、システムを導入して「誰でもできる」仕組みを作る。この3つのステップを段階的に進めることが効果的です。

まずは自社の実行予算業務を棚卸しして、どこに属人化のリスクがあるのか把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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