積算・工程管理実践ガイド 投稿日:

建設業の若手育成が変わる|離職を防ぎ、技術を確実に継承する3つのステップ

建設業界では深刻な若手不足が進行しており、29歳以下の就業者はわずか12%という現実に直面しています。一方で55歳以上が35%を占め、10年後には貴重な技術を持つベテラン層の大量退職が予想されています。中小土木会社の経営者や現場責任者の皆様は「若手がすぐに辞めてしまう」「技術継承がうまくいかない」「指導する時間が取れない」といった課題を抱えていることでしょう。

しかし、デジタルツールを活用した「ナレッジの見える化」により、これらの課題を解決する新しい若手育成の形が生まれています。本記事では、限られた予算と人員の中で効果的な若手育成を実現し、離職を防ぎながら技術を確実に継承するための3つのステップを、具体的な手法とともに解説します。

 

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【目次】

1. 建設業の若手育成を阻む3つの壁とは
 1-1. 若手不足の深刻な現状 – 29歳以下12%、55歳以上35%の現実
 1-2. OJT頼みの技術継承と属人化リスク – 施工管理の品質ばらつき
 1-3. 世代間ギャップの拡大 – 「背中を見て覚えろ」が通用しない時代

2. 若手が定着する建設会社の共通点
 2-1. Z世代・ミレニアル世代を理解した指導方法の確立
 2-2. 体系的な育成プログラムの構築 – OJTとOFF-JTの効果的な組み合わせ
 2-3. 成長実感と安全文化の両立 – 心理的安全性の確保

3. 建設DXで加速する技術継承の新常識
 3-1. クラウド型工程管理システムが変える現場の学習環境
 3-2. ベテランの暗黙知を「見える化」する具体的手法
 3-3. 実行予算データを活用した実践的育成手法

4. 中小土木会社でも実践できる若手育成システム
 4-1. 段階的育成プログラムの設計方法 – 4つのフェーズ管理
 4-2. 現場情報のデジタル化による標準化推進
 4-3. 協力会社を含めた技術継承ネットワークの構築

5. 今日から始められる若手育成アクション
 5-1. 定期的な1on1面談で若手の本音をキャッチする仕組み
 5-2. 現場の「良い段取り」を記録・共有する習慣づくり
 5-3. 若手のモチベーション維持と成長実感の仕組みづくり

6. まとめ

 

建設業の若手育成を阻む3つの壁とは

若手不足の深刻な現状 – 29歳以下12%、55歳以上35%の現実

建設業界の年齢構成は他産業と比較して著しく高齢化が進んでいます。国土交通省「最近の建設業を巡る状況について(令和6年版)」によると、建設業就業者の年齢構成では29歳以下が約12%、55歳以上が約35%を占めており、若年層の比率が低く、ベテラン層の割合が高い状況が続いています。

この年齢構成の偏りは、単なる人手不足を超えた構造的な問題を示しています。現在55歳以上が35%を占めるベテラン層は、10年後にはその大部分が引退年齢を迎えます。彼らが持つ豊富な現場経験、施工管理のノウハウ、安全管理の知識は、まさに建設業界の貴重な財産といえるでしょう。中小土木会社においては、この傾向がより顕著に現れており、新卒採用力が限られ、若手の確保が困難な状況が続いています。

OJT頼みの技術継承と属人化リスク – 施工管理の品質ばらつき

多くの建設現場では、OJT(On-the-Job Training)が若手育成の中心となっています。「見て覚えろ」「背中を見て学べ」といった指導は、かつては有効な手段でしたが、現代においてはその限界が露呈しています。最も深刻な問題は、指導内容の属人化です。ベテラン社員が持つ施工管理のノウハウや段取りの考え方は、多くの場合、その人の頭の中にだけ存在する「暗黙知」となっています。

例えば、土工事における最適な施工順序、コンクリート打設時の品質管理ポイント、安全管理の勘所など、現場で培われた貴重な知識が体系化されていません。さらに、指導する側のコミュニケーション能力や教育スキルによって、技術継承の品質に大きなばらつきが生じています。現場は常に時間との勝負であり、丁寧な指導を行う余裕がないという状況も技術継承を困難にしています。

世代間ギャップの拡大 – 「背中を見て覚えろ」が通用しない時代

現代の若手社員、特にZ世代やミレニアル世代は、デジタルネイティブ世代として育っており、情報収集や学習において論理的で体系的なアプローチを好む傾向があります。「なぜそうするのか」「どういう理由でこの方法が最適なのか」といった背景や理由を理解したいという欲求が強く、感覚的・経験的な指導だけでは納得感を得られません。

また、ワークライフバランスを重視する価値観も、従来の建設業界の働き方と衝突する要因となっています。長時間労働や休日出勤が当たり前とされてきた業界文化に対し、若手は疑問を抱き、将来性への不安を感じています。感情的な叱責や人格否定的な指導も、現代の若手には逆効果となります。パワーハラスメントに対する意識が高まる中で、従来の厳しい指導方法は離職の直接的な原因となるケースが増えています。

 

若手が定着する建設会社の共通点

Z世代・ミレニアル世代を理解した指導方法の確立

若手が定着する建設会社では、現代の若手世代の特性を理解した指導方法を確立しています。Z世代(1997年以降生まれ)とミレニアル世代(1981-1996年生まれ)は、デジタル環境で育ったことによる情報処理能力の高さが特徴です。インターネットで瞬時に情報を検索し、動画やビジュアルコンテンツから効率的に学習することに慣れています。

成功している会社では、感情的・感覚的な指導から、論理的で体系的な指導へとシフトしています。例えば、安全管理について指導する際も、「危険だからやるな」ではなく、「この作業でどのような事故が起こり得るか」「なぜこの安全対策が必要なのか」を具体的なデータや事例とともに説明します。また、褒めて伸ばす指導方法を積極的に採用し、小さな成長や改善も見逃さず具体的に評価することで、若手のモチベーション向上を図っています。

体系的な育成プログラムの構築 – OJTとOFF-JTの効果的な組み合わせ

若手が定着する建設会社では、場当たり的なOJTだけに頼らず、体系的な育成プログラムを構築しています。特に注目されているのが「4つのフェーズ育成法」です。

フェーズ期間主な役割到達基準(例)
1. 基礎入社後3ヶ月安全基本・用語・図面読解KY活動を主導できる
2. 実践4ヶ月目〜1年目出来形・写真・資機材手配補助出来形帳票を自力作成
3. 独立2年目〜3年目小区画の工程・品質・安全WBS作成と手順説明
4. 指導4年目以降小規模現場の主担当/後輩指導原価差異の改善提案

フェーズ1では基本的な法規制と安全管理をOFF-JTで学習し、フェーズ2で現場実践に移行します。重要なのは各段階で明確な到達基準を設定し、成長を可視化することです。中小企業でも、オンライン研修やe-ラーニングを活用することで、効率的に体系的な育成が可能です。

成長実感と安全文化の両立 – 心理的安全性の確保

建設業界において、安全管理は最優先事項です。しかし、厳格な安全管理と若手の成長実感を両立させることは容易ではありません。成功している会社では、心理的安全性を確保しながら、安全文化を醸成する工夫を行っています。

心理的安全性とは、チームメンバーが恐怖や不安を感じることなく、自分の意見や疑問を表明できる環境のことです。具体的な取り組みとして、「失敗事例の共有会」を定期的に開催している会社があります。ベテランも含めて過去の失敗やヒヤリハット事例を共有し、「失敗は学習の機会」という文化を作っています。成長実感については、3ヶ月ごとにスキルチェックシートを用いて成長度合いを測定し、次の目標を明確に設定することで、継続的な成長意欲を維持しています。

 

建設DXで加速する技術継承の新常識

クラウド型工程管理システムが変える現場の学習環境

建設業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、若手育成の手法も大きく変化しています。大手企業では、AIを活用したナレッジ抽出システムの構築や、業務プロセスの自動化により、若手がより創造的で高度な業務に集中できる環境を整備しています。

中小土木会社においても、クラウドツールの低価格化により、こうした先進的な取り組みが現実的になってきました。スマートフォンやタブレットがあれば、現場からでも過去の施工事例や技術資料にアクセスでき、ベテラン社員の知識を体系的に学習することが可能です。クラウド型工程管理システムの最大のメリットは、情報の一元管理と共有で、若手は現場で疑問が生じた際に、その場で関連資料を確認し、過去の類似事例から学習することができます。

ベテランの暗黙知を「見える化」する具体的手法

建設業界における最大の課題の一つは、ベテラン社員が持つ貴重な暗黙知の継承です。長年の現場経験で培われた施工管理のコツ、段取りの考え方、トラブル対応のノウハウなどは、多くの場合、その人の頭の中にだけ存在しています。

具体的な手法として、まず「作業手順の動画記録」があります。ベテラン社員の優れた段取りや作業手順をスマートフォンで撮影し、クラウド上に保存します。重要なのは、単に作業を記録するだけでなく、「なぜこの順序で行うのか」「どこに注意を払っているのか」といった判断基準も音声で記録することです。次に「判断基準のテンプレート化」です。例えば、コンクリート打設の品質管理において、ベテラン社員がどのような観点で品質を判断しているのかを詳細に聞き取り、チェックリスト化します。

設計・施工時は現場条件の個別検討が必要です。コンクリート強度、配合設計、養生方法などの具体的数値は、必ず現場条件に応じた専門的な検討を行ってください。

実行予算データを活用した実践的育成手法

建設業における利益確保において、実行予算管理は若手が早期に習得すべき重要なスキルです。実行予算の管理と分析は現場判断力を養う最適な教材となります。

見積・実行予算システム『BeingBudget』を活用することで、予算と実績の差異分析を通じて、どの工種でコストオーバーが発生しやすいのか、どのような要因が利益率に影響するのかを具体的なデータで学習できます。重要なのは、ベテラン社員の実行予算策定における判断基準や工夫を標準化し、若手が参考にできる形でナレッジ化することです。

例えば、土工事の実行予算において「なぜこの重機を選定したのか」「運搬距離をどう算出したのか」といった判断プロセスを記録し、システム内で共有します。これにより、若手は単なる数値管理を超えて、コスト構造の理解と原価意識を実践的に身につけることができます。

 

中小土木会社でも実践できる若手育成システム

段階的育成プログラムの設計方法 – 4つのフェーズ管理

中小土木会社においても、限られたリソースで効果的な若手育成を実現するために、段階的な育成プログラムの設計が重要です。大手企業のような潤沢な研修予算はなくても、工夫次第で体系的な育成システムを構築することができます。

第1フェーズは「基礎知識習得期間」(入社後3ヶ月)で、建設業法、労働安全衛生法、品質管理の基本などの法規制と基礎知識を集中的に学習します。中小企業では専任の研修担当者を置くことが困難ですが、オンライン研修システムやe-ラーニングを活用することで効率的な学習が可能です。第2フェーズは「現場実践導入期間」(4ヶ月目から1年目)で、実際の現場に配属し、指導担当者のもとでOJTを実施します。重要なのは指導担当者の明確化と責任の所在で、1対1のメンター制度を導入し、定期的な面談と評価を行います。

現場情報のデジタル化による標準化推進

中小土木会社において、現場情報のデジタル化は業務効率化と品質向上の両面で大きなメリットをもたらします。特に若手育成の観点では、標準化された情報により、属人的な指導から脱却し、一定レベル以上の育成品質を確保することが可能になります。

まず取り組むべきは「工程管理のデジタル化」です。従来の手書きの工程表から、クラウド型工事情報総合マネジメントシステムへの移行により、工程情報をリアルタイムで共有できます。「品質管理記録のデジタル化」も重要で、コンクリート打設記録、土質試験結果、出来形管理データなどをデジタル化することで、品質管理の標準的な手順と判断基準を若手に示すことができます。

導入効果を可視化するには、削減工数や残業時間、手戻り件数を前後比較します。投資判断にはROIを簡便算定します。

ROI(年間)=
削減工数 × 平均人件費 + 手戻り削減額 – ツール費用
ツール費用
× 100

数値は一例であり、現場条件・会社規模により大きく変動します。設計・施工時は現場条件に応じた個別検討が必要です。

協力会社を含めた技術継承ネットワークの構築

中小土木会社の強みの一つは、協力会社との密接な関係です。この関係を活用して、技術継承のネットワークを構築することで、限られた社内リソースを補完し、より幅広い技術習得の機会を提供することができます。

協力会社との合同研修会の開催は効果的な取り組みの一つです。月1回程度の頻度で、元請け・下請けの枠を超えた技術交流の場を設けます。特定の工法や新技術について、実績のある協力会社から学ぶ機会を作ることで、若手の技術的な視野を広げることができます。

クラウド型工事情報総合マネジメントシステム『INSHARE』を協力会社と共同で利用することで、工程表、スケジュール、安全管理書類などを一元管理し、リアルタイムで情報共有が可能になります。協力会社が持つ施工ノウハウや改善提案を共有し、相互に学び合う環境を構築することで、業界全体の技術レベル向上と若手育成の質的向上を同時に実現できます。

 

今日から始められる若手育成アクション

定期的な1on1面談で若手の本音をキャッチする仕組み

若手育成において最も重要なのは、若手の状況と心境を正確に把握することです。多くの建設会社では、若手が抱える不安や疑問を見過ごしがちで、それが離職につながるケースが少なくありません。定期的な1on1面談は、この問題を解決する最も効果的な手法の一つです。

1on1面談の頻度は月1回、時間は15分程度から始めることをお勧めします。忙しい現場の中でも実施可能な現実的な設定です。面談で確認すべき項目は体系化しておくことが重要で、現在の業務で困っていること、理解できていない技術的な内容、人間関係の悩み、将来のキャリアに対する希望や不安などを定期的にヒアリングします。重要なのは、面談を評価の場ではなく、支援の場として位置づけることで、若手が本音を話しやすい雰囲気を作り、建設的な対話を心がけます。

現場の「良い段取り」を記録・共有する習慣づくり

建設現場における「良い段取り」は、プロジェクトの成功を左右する重要な要素です。しかし、多くの場合、優秀な段取りは実行した当人の頭の中にだけ存在し、組織の財産として蓄積されていません。現場の良い段取りを記録し、共有する習慣を作ることで、組織全体の施工管理レベルの向上と若手の学習促進を同時に実現できます。

記録方法は、スマートフォンやタブレットを活用した写真・動画撮影が効果的です。作業前、作業中、作業後の状況を時系列で記録し、音声メモで判断理由や注意点を補足します。撮影時間は作業後5分程度に設定し、現場の負担を最小限に抑えます。記録した情報は、クラウドシステムを活用して社内で共有し、工種別、現場規模別、季節別などのカテゴリーで分類して、検索しやすい形で整理します。

若手のモチベーション維持と成長実感の仕組みづくり

若手育成において最も重要なのは、継続的なモチベーション維持です。多くの建設会社では、若手が成長を実感できずに意欲を失い、離職に至るケースが見られます。成長実感を得られる仕組みを作ることで、若手の定着率向上と技術習得の加速を同時に実現できます。

具体的な取り組みとして、「スキル成長の可視化」があります。3ヶ月ごとに技術チェックシートを用いて、図面読解力、安全管理知識、施工管理スキルなどを5段階で評価し、成長グラフを作成します。数値化することで、若手自身が成長を実感でき、次の目標も明確になります。

「小さな成功体験の積み重ね」も効果的です。最初は確実に達成できる小規模な業務から始め、段階的に責任範囲を拡大します。例えば、材料検収→写真撮影→出来形測定→品質管理記録作成という順序で、一つずつ確実にマスターさせることで、自信と達成感を育てます。また、月1回の「若手発表会」を設け、学んだ技術や改善提案を発表する機会を作ることで、学習意欲の向上と知識の定着を図ります。

 

まとめ

建設業界における若手育成は、単なる人材確保の問題を超えて、業界全体の技術継承と持続的発展に関わる重要な課題です。29歳以下の就業者がわずか12%という現実の中で、限られた若手人材を確実に育成し、定着させることが急務となっています。

本記事で解説した3つのステップ「若手世代の理解」「体系的な育成プログラムの構築」「デジタルツールの活用」は、中小土木会社でも実践可能な現実的なアプローチです。重要なのは、従来の「背中を見て覚えろ」という指導方法から脱却し、現代の若手に適した論理的で体系的な育成手法に転換することです。

デジタル化による技術継承の「見える化」は、もはや大手企業だけの取り組みではありません。10年後の建設業界を支えるのは、今の若手社員です。今日から始められる小さな一歩を踏み出し、若手育成の新しい形を実現していきましょう。

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