土木工事において、工程管理は工期内の完工と適正な利益確保を実現するための要です。突発的な天候不良、地中障害物の発見、協力業者の調整など、土木現場特有の変動要因に柔軟に対応するには、緻密な工程管理が不可欠です。
工程管理が適切に行われないと、作業の遅延、資材や人員の無駄な待機時間が発生し、最終的に工期遅延やコスト超過につながります。特に公共工事においては、工期遅延は発注者との信頼関係にも影響し、将来的な受注機会の損失にもつながりかねません。
建設業法施行規則でも施工管理技術者の職務として「工程管理」が明記されており、土木施工管理技士の試験でも重要な出題分野となっています。単なる現場のスケジュール管理に留まらず、事業経営の根幹を支える技術として、工程管理の重要性はますます高まっています。
作業工程とは、土木工事を段階的に細分化し、それぞれの作業内容や順序、所要期間を明確化したものです。工程管理はこれらの作業を計画通りに進め、必要に応じて修正を加えながら工期内に工事を完了させる技術です。
適切な工程管理は施工品質に直結します。余裕を持った作業計画は丁寧な施工を可能にし、品質向上につながる一方、工程の遅れによる突貫工事は不具合の原因となることが少なくありません。例えば、コンクリート工事では養生期間の確保が品質を左右しますが、工程遅延による養生期間の短縮は強度不足や耐久性低下のリスクを高めます。
効果的な工程計画には多くのメリットがあります:
土木現場では様々な「無駄」が工程の遅延や効率低下を引き起こします。代表的な無駄には以下があります:
これらの無駄を発見するには、タイムスタディ(時間計測)などの現場観察と作業分析が効果的です。また、作業の標準化によって効率向上を図れます:
土木工事の工程表を作成する際には、以下の基本要素を盛り込むことが重要です:
これらの要素を適切に組み合わせることで、現場の全体像を把握しやすく、問題発生時にも迅速に対応できる工程表が完成します。
土木現場での工程管理には、Microsoft Excelが広く活用されています。Excelの利点は、専門ソフトに比べて導入コストが低く、多くの技術者が基本操作に習熟していることです。
Excelで効果的な工程表を作成するポイント:
特に有用なのは、実績を入力すると自動的に残工程を再計算する機能です。例えば、掘削工の進捗が計画より2日遅れている場合、その影響を受ける後続工程への影響を自動計算することで、早期に対策を講じることができます。 しかしながら、工程タスクバーの連動は難しく、後工程タスクバーを手動で変更する必要があります。
土木工事では、工程全体の進捗を制約する「ボトルネック」の特定と解消が重要です。ボトルネックとは、生産能力が最も低く、全体の進捗速度を律速している工程や作業を指します。
ボトルネックを特定するためには:
ボトルネックの解消方法としては:
例えば、トンネル工事での掘削→ずり出し→吹付けの作業サイクルで、ずり出しの処理能力が低い場合、ずり出し用ダンプの増車や一時仮置き場の確保などの対策が考えられます。
施工サイクルの短縮は工期短縮の基本テクニックですが、安全性との両立が課題となります。
施工サイクル短縮の効果的な方法:
安全性を確保しながらサイクルを短縮するためには:
土木工事の工程管理は、デジタル技術の進化により大きく変わりつつあります。従来のExcelを使った工程表から一歩進んだ、クラウドベースの工程管理ツールが現場の効率化と情報共有を大きく改善しています。
クラウド型のシステムを活用することで、工程管理の課題を効率的に解決できます。例えば、株式会社ビーイングが提供する『INSHARE(インシェア)』は、"段取り、やりとり、思い通り"をキャッチフレーズとする工事情報総合マネジメントシステムです。
『INSHARE』は工程管理と各種情報共有に必要な機能を備え、それらが相互に連携したクラウド型システムで、社内外問わず、すべての工事関係者間で利用可能です。『Gaia Cloud』のデータを取り込んで工程表作成機能や多様な様式へのExcel出力に対応し、依存関係線と日程計算機能、段取り設定・通知機能など多くの機能を搭載しています。
土木現場では、工程表、図面、打合せ記録など多くの情報が発生します。これらの情報は往々にして散在しがちですが、『INSHARE』のようなクラウドツールを使うことで:
これにより、「現場のスケジュール把握や予定変更の周知に時間がかかる」「大量の書類を整理・管理するため、ファイルが散在して紛失リスクがある」といった課題を解決できます。
土木工事の工程管理において、工程表に表しきれない詳細な作業手順や準備作業の管理が重要です。『INSHARE』の独自機能である「段取り」管理では:
こうした機能により、手配漏れや連絡漏れを防止し、「技術者の知識やノウハウを社内で共有・活用できず、技術力の底上げができない」という課題も解決に近づきます。
メリット:
導入時の注意点:
土木工事は屋外作業が多く、気象条件の影響を大きく受けます。効率的な工程管理のためには、気象条件を織り込んだ計画立案が不可欠です。
気象リスクを考慮した工程計画のポイント:
例えば、梅雨時期(6〜7月)には土工事の進捗が落ちることを見込み、この時期に比較的天候の影響を受けにくい構造物工やコンクリート二次製品の据付工などを集中的に行う計画が有効です。
土木工事では、「クリティカルパス」を意識した工程管理が効果的です。クリティカルパスとは、プロジェクト全体の所要期間を決定する最長の作業経路のことです。
クリティカルパス管理の実践方法:
例えば、道路工事では「土工→排水構造物→路盤工→舗装工」という基本的な作業順序がクリティカルパスとなることが多いです。このうち土工が遅延すれば、後続のすべての工程に影響します。一方、道路付属物(ガードレール、区画線など)はある程度フロートがあるため、クリティカルパス上の作業を優先し、天候不良時などに道路付属物工事を行うことで、全体工期への影響を抑えることができます。
土木現場では様々な工程トラブルが発生します。これらを事前に想定し、迅速な対応策を準備しておくことが、工程管理の重要なポイントです。
1. 天候不良による遅延
2. 地中障害物の発見
3. 協力業者の人手不足
4. 資材・機材の納入遅延
5. 品質不良による手戻り
工程トラブルへの対応では、「早期発見・迅速対応」の原則が重要です。日々の現場巡視や協力業者との密なコミュニケーションにより、問題の芽を早期に発見し、小さいうちに対処することで、大きな工程遅延を防ぐことができます。
土木工事における作業工程管理は、単なるスケジュール作成にとどまらない、現場運営の根幹をなす重要な技術です。適切な工程管理により、「品質・コスト・工期」のバランスが取れた理想的な工事が実現します。
工程管理の基本原則:
近年の土木現場では、クラウド型工程管理ツールの活用が広がっています。弊社の『INSHARE』は、工程表機能に加え、段取り管理、コミュニケーション機能、ファイル管理など複数の機能を統合し、工事情報を一元管理することで、現場の生産性向上と関係者間の円滑な情報共有をサポートします。従来のExcel管理とクラウドツールをそれぞれの強みに合わせて活用することで、より効果的な工程管理が実現できるでしょう。
本記事で紹介した手法やポイントを参考に、自社の工事現場の工程管理を見直し、改善してみてください。小さな工夫の積み重ねが、大きな成果をもたらします。効率的な工程管理が、現場の生産性向上と技術者の働き方改革を同時に実現する鍵となるでしょう。
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