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施工管理の工程表作成完全ガイド:土木工事の効率的なスケジュール管理手法

土木工事における施工管理の成功は、適切な工程表の作成と運用にかかっています。公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)改正により、適正な工期設定が法的義務として明確に規定され、工程管理の重要性がこれまで以上に高まっています。施工管理技士にとって工程表は、工期遵守と品質確保を両立させるための必須のスキルとなっています。

本記事では、土木施工管理技士や現場代理人の皆様に向け、施工管理の工程表に関する基本知識から実践的な作成手法、効果的な活用方法まで体系的に解説いたします。限られた予算と人員の中で最大の成果を上げるための具体的なノウハウをご紹介します。

 

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【目次】

1. 施工管理における工程表の基本知識と重要性
 1-1. 施工管理での工程表の定義と役割
 1-2. 工程表による工期管理とコスト削減効果
 1-3. 工程表作成が施工品質に与える影響

2. 施工管理に適した工程表の種類と使い分け
 2-1. バーチャート工程表の特徴と土木工事での活用法
 2-2. ガントチャート工程表との違いと使い分けのポイント
 2-3. ネットワーク工程表による複雑工程の管理手法

3. 効果的な工程表作成の実践手順
 3-1. 施工手順の整理と現実的な工期設定方法
 3-2. 人員配置と資材調達を考慮した工程計画
 3-3. リスク要因を織り込んだ余裕期間の設定

4. 工程表を活用した現場管理の効率化
 4-1. Excelを使った工程表作成と管理のコツ
 4-2. 工程管理システム導入による業務改善

5. 工程表による施工管理力の向上と成果
 5-1. 精密な工程管理による発注者信頼の獲得
 5-2. 工程実績データを活用した見積精度向上
 5-3. 継続的改善による施工管理スキルの向上

6. まとめ

 

施工管理における工程表の基本知識と重要性

施工管理での工程表の定義と役割

施工管理における工程表とは、土木工事の各作業を時系列に整理し、工事の開始から完成までの全体的な流れを視覚的に表現したスケジュール管理ツールです。令和6年6月の品確法改正により、発注者には休日、準備期間、天候等を考慮した適正な工期設定が法的義務として課されており、受注者においても工程管理の精度向上が求められています。

工程表は単なる日程表ではありません。道路工事、河川工事、橋梁工事など、それぞれの工事特性に応じた施工手順を考慮し、作業間の依存関係や制約条件を含めた総合的な管理ツールとして機能します。一例として、道路工事では路盤工事完了後に舗装工事が可能になるという作業順序の管理が重要であり、これらの関係性を工程表で明確に示すことで、現場作業員から協力業者まで全ての関係者が共通認識を持って作業を進められます。

工程表による工期管理とコスト削減効果

施工管理における工程表の主要な目的は、工期内での確実な工事完成と品質確保です。適切な工程表の作成により、各工程の所要期間を正確に見積もり、作業の重複や待機時間を最小限に抑えることで、工期短縮とコスト削減を同時に達成できます。

工程表の作成により、まず全体工期の最適化が実現します。各工程の所要期間を正確に見積もり、作業の重複や待機時間を最小限に抑えることで、工期短縮とコスト削減を同時に達成できます。一例として、橋梁下部工工事では基礎掘削→鉄筋組立→コンクリート打設→養生という一連の作業が必要ですが、各橋脚で並行して進めることで全体工期を短縮できます。さらに、発注者への報告業務の効率化も重要な効果です。公共工事では定期的な進捗報告が求められますが、詳細な工程表があることで客観的なデータに基づいた報告が可能となり、発注者との信頼関係構築にも寄与します。

工程表作成が施工品質に与える影響

工程表の適切な作成は、施工品質の向上に直接的な影響を与えます。作業手順が明確化されることで、本来並行してはいけない作業の重複を防ぎ、各工程での品質確保に必要な養生期間や検査時間を確実に確保できます。

コンクリート工事を例に挙げると、JIS A 5308:2024では気温条件に応じた適切な管理基準が設定されており、暑中・寒中それぞれの条件下で品質確保のための工程調整が必要となります。このような技術基準を事前に工程表に反映させることで、品質トラブルの発生を防ぎ、結果として手戻り工事や追加費用の発生を回避できます。また、安全管理面でのリスクも軽減されます。作業手順が曖昧になることで発生する労働災害のリスクを、適切な工程管理により最小限に抑制することが可能です。

 

施工管理に適した工程表の種類と使い分け

バーチャート工程表の特徴と土木工事での活用法

施工管理において最も広く使用されているのがバーチャート工程表です。縦軸に作業項目、横軸に時間軸を配置し、各作業の期間を横棒で表現する形式で、土木工事の現場管理に最適化されています。

バーチャート工程表の最大の特徴は、作業の開始日と終了日、所要期間が一目で把握できることです。小規模から中規模の土木工事、例えば延長500m程度の道路工事や単独の橋梁工事などでは、全体の流れを関係者が容易に理解できるため広く活用されています。作成も比較的簡単で、ExcelやWordなどの一般的なソフトウェアでも十分に対応可能です。実際の現場では、協力業者への作業指示や発注者への進捗報告において、専門知識のない関係者でも直感的に理解できる利点があります。ただし、複雑な作業間の依存関係や、一つの工程の遅延が全体に与える影響を把握するには限界があるため、大規模工事では他の工程表との併用が推奨されます。

ガントチャート工程表との違いと使い分けのポイント

施工管理技士試験や実務において、ガントチャートとバーチャートの違いを正確に理解することは重要です。日本の建設業界では、国際標準とは異なる独特の定義が採用されていることに注意が必要です。

施工管理技士試験では、ガントチャートは「縦軸に作業名、横軸に進捗率を表示する工程表」として定義されています。横棒内に完了部分と未完了部分を表示し、作業完了時が100%となる形式です。一方、バーチャートは「縦軸に作業項目、横軸に日時・工期を表示する工程表」として位置づけられています。この定義に基づくと、ガントチャートは工事の進捗状況をリアルタイムで把握できる利点がありますが、所要日数の明確な表示には適さないとされています。実務においては、発注者への進捗報告にはガントチャート形式が有効であり、初期の工程計画策定にはバーチャート形式が適している場合が多いです。ただし、実際の現場では企業や現場によって定義が曖昧な場合もあるため、使用前に関係者間で認識を統一することが重要です。

ネットワーク工程表による複雑工程の管理手法

大規模な土木工事や複雑な作業関係を持つ工事では、ネットワーク工程表の活用が効果的です。作業間の関係性と依存関係を矢線とノードで表現する高度な工程管理手法で、PERT(Program Evaluation and Review Technique)やCPM(Critical Path Method)などの手法により、最も工期に影響を与える経路(クリティカルパス)を特定できます。

総工事費10億円を超えるような道路工事や複雑な河川改修工事では、多数の作業が複雑に関連し合います。このような場合、ネットワーク工程表により作業の最早開始時刻、最遅開始時刻、余裕時間(フロート)を算出し、工期短縮や資源配分の最適化が可能になります。橋梁工事を例に挙げると、下部工、上部工、付帯工がそれぞれ異なる工程で進行しますが、ネットワーク工程表により各工程の関連性を明確にし、どの作業の遅延が全体工期に影響するかを事前に把握できます。ただし、作成には専門知識が必要で、工程数が多い場合は図が複雑になるというデメリットもあるため、中小規模工事では過度に複雑な手法を避け、目的に応じた適切な工程表を選択することが重要です。

 

効果的な工程表作成の実践手順

施工手順の整理と現実的な工期設定方法

効果的な施工管理工程表を作成するには、まず契約図書で示された発注者の工程表を基に、自社の施工能力や協力業者の体制、現場特有の制約条件を考慮した詳細な実施工程表を作成することが重要です。国土交通省の「土木工事共通仕様書」で定められた各工種の施工方法を参考にしながら、現場に最適化された具体的な施工手順を決定します。

工期設定においては、国土交通省の土木工事標準歩掛に基づく検討が重要です。標準歩掛は全国での施工実態調査に基づく標準的な労務、材料、機械等の所要量を設定したもので、毎年改定される実態に即した基準となっています。ただし、これらの数値は標準的な条件での目安であり、実際の工期設定では現場の地質条件、気象条件、施工環境等を考慮した詳細な検討が必要です。天候による影響も重要な考慮要素です。梅雨期間中の屋外作業では、1ヶ月あたり5~7日程度の雨天日を見込み、その分の余裕期間を設定することが一般的です。

人員配置と資材調達を考慮した工程計画

土木工事における人員配置と資材調達の効率的な計画は、工事の採算性を左右する重要な要素です。まず、各工程で必要な技能と人数を正確に把握し、適切な職種の作業員を配置することが基本となります。

労務配分の最適化では、作業の平準化が重要なポイントです。急激な人員の増減は、労務費の上昇や品質低下の原因となります。人員配置計画では、各工程で必要な技能と人数を正確に把握し、作業間の重複を適切に調整することで効率的な配置を実現できます。道路工事において路盤工事と舗装工事で異なる技能が必要な場合、両工程を部分的に重複させることで人員の有効活用が可能になります。資材調達においては、現場の保管能力と搬入時期の調整が重要です。生コンクリートのように製造から使用まで時間制限があるものは、作業計画と密接に連携した発注管理が必要です。また、鉄筋など長期保管可能な材料でも、現場の制約から適切な時期での分割搬入を計画することで、管理費用の削減と作業効率の向上を図れます。

リスク要因を織り込んだ余裕期間の設定

土木工事では予期せぬ事態が発生することが多く、適切なリスク管理と余裕期間の設定が工程表の実効性を高めます。会計検査院の調査では、営繕工事において設計変更が高い頻度で発生することが報告されており、これらの変更に対応するためのバッファーを工程表に組み込むことが重要です。

天候リスクについては、過去の気象データを基に地域特性を考慮した設定が必要です。梅雨期間中の屋外作業では適切な雨天対策を講じることで作業継続が可能な場合もありますが、台風接近時は1日~3日程度の作業停止期間を想定し、9月~10月の工程には特に注意を払う必要があります。地中障害物の発見や軟弱地盤の出現など、地質に関するリスクも重要です。詳細な地質調査を実施していても、予期せぬ地質条件に遭遇する可能性があります。このようなリスクに対しては、工事内容や現場条件に応じた適切な余裕期間を設定し、早期発見・早期対応により工期への影響を最小限に抑える体制を整えることが重要です。また、協力業者の都合や資材調達の遅延など、外部要因によるリスクについても事前に検討し、代替手段を準備しておくことで安定した工程管理が実現できます。

 

工程表を活用した現場管理の効率化

Excelを使った工程表作成と管理のコツ

多くの土木工事現場では、Microsoft Excelを使用した工程表作成が一般的のようです。Excelは工程表作成ツールとして広く使われており、テンプレートや関数、条件付き書式を活用することで、現場ごとの作業工程やスケジュールを柔軟に作成できます。

あくまでも一例ですが、Excelでバーチャート工程表を作成する際のコツとして、まず作業項目を縦軸に明確に整理し、横軸には週単位や月単位での時間軸を設定します。セルの結合機能を活用して各作業期間を横棒で表現し、条件付き書式により進捗状況に応じた色分けを行うことで視認性を向上させることができます。また、数式を活用して工期の自動計算や進捗率の表示を行うことで、更新作業の効率化が図れます。ただし、複数人での同時編集やリアルタイム共有が難しく、属人化や更新管理の煩雑さ、バージョン違いによる互換性問題などのデメリットもあります。これらの課題を軽減するため、ファイルの共有ルールを明確にし、定期的なバックアップを取ることが重要です。

工程管理システム導入による業務改善

大規模・複雑な現場やリアルタイム共有が必要な場合は、専用の工程管理システムの導入が効果的です。従来のExcelベースの手作業管理では、複数人での同時編集やリアルタイム共有に限界があり、バージョン管理や情報の一元化が困難でした。

システム導入の主要効果

工程管理システムの最大の利点は、自動で日程調整を行い、進捗管理を簡素化することで業務負担を大幅に軽減することです。一つの工程に変更が生じた際も、関連する全ての工程に自動で影響を反映し、全体最適化されたスケジュールを即座に算出できます。また、複数現場を一元的に管理する機能により、スケジュール管理が複雑になりがちな大規模な施工プロジェクトでも効果を発揮します。

クラウド環境を活用したシステムでは、現場から本社までの情報がリアルタイムで連携され、関係者全員が常に最新の工程状況を確認できます。例えば、クラウド型工事情報総合マネジメントシステム『INSHARE』では、工程表をWebブラウザで作成・共有でき、タブレットやスマートフォンで現場からリアルタイムに確認できます。進捗率の入力など簡易的な編集も可能で、現場の状況を迅速に反映させることができます。

効果的な情報共有と運用体制の構築

システムの効果を最大化するには、適切な運用ルールの整備が不可欠です。まず、工程表の更新頻度や担当者を明確に定め、関係者ごとに適切なアクセス権限を設定することで、必要な情報のみを効率的に共有できる環境を構築します。

協力業者との情報共有では、各業者の専門性に応じて必要な工程情報を抽出し、理解しやすい形式で提供することが重要です。モバイル端末を活用すれば、現場から工程表や報告書をリアルタイムで確認・更新でき、連絡や打ち合わせの手間を大幅に削減できます。

定期的な工程会議での情報共有に加え、緊急時の連絡体制を整備することで、突発的な工程変更にも迅速に対応できる体制を構築できます。これにより、施工管理の円滑な進行を支え、品質や納期の確保にも寄与します。

 

工程表による施工管理力の向上と成果

精密な工程管理による発注者信頼の獲得

工程表の高度化は、単なる効率化ツールを超えて、企業の競争力強化に直結する戦略的要素となっています。特に公共工事では、工事成績評定において工程管理の適切性が重要な評価項目となっており、高い評価を得ることで将来の受注機会拡大につながります。

精密な工程管理により、発注者への報告精度が向上し、信頼関係の構築につながります。詳細かつ正確な工程表により、発注者は工事の進捗状況を客観的に把握でき、安心して工事を任せることができます。特に設計変更や工期変更が必要な場合、客観的なデータに基づいた根拠の提示により、スムーズな合意形成が可能になります。また、工程管理の透明性向上により、発注者との定期的な協議がスムーズに進行し、問題の早期解決や工事品質の向上にも寄与します。

工程実績データを活用した見積精度向上

工程管理データの蓄積と分析により、自社の施工能力の客観的な把握が可能になります。過去の工事データを分析することで、工種別の生産性、季節要因の影響、協力業者の能力などを定量的に評価でき、より精度の高い見積作成と工期設定が可能になります。

標準的な施工能力データの蓄積により、新規工事の見積において根拠のある工期設定が可能となります。例えば、過去の道路工事データから「軟弱地盤における掘削速度は通常の60%程度」「冬期のコンクリート工事は夏期の1.3倍の工期が必要」といった自社固有のデータを蓄積することで、競合他社との差別化を図ることができます。また、協力業者の能力評価データにより、最適な業者選定と適正な工期設定が可能となり、工事の品質向上とコスト削減を同時に実現できます。これにより、適正な利益を確保しながら競争力のある提案ができるようになり、継続的な受注確保につながります。さらに、過去の工程変更パターンの分析により、リスク要因の事前把握と対策立案が可能となり、工事の安定性向上にも寄与します。

継続的改善による施工管理スキルの向上

工程表を活用した継続的改善により、施工管理技士としてのスキル向上と組織全体の能力向上を図ることができます。各工事完了後の工程実績分析により、計画と実績の差異を検証し、次回工事への改善点を明確にすることが重要です。

協力業者との連携強化により、より大規模な工事への参入機会も拡大します。高度な工程管理システムを共有できる協力業者ネットワークを構築することで、JV工事や大型プロジェクトでの競争力向上が期待できます。また、若手技術者への技術継承においても、体系化された工程管理ノウハウは貴重な教育資料となります。工程表作成から実行、評価までの一連のプロセスを標準化することで、属人化を防ぎ、組織全体の技術力向上を図ることができます。さらに、工程管理の高度化により、施工管理技士としての専門性を向上させ、資格取得や技術士などのより高度な資格への挑戦意欲も高まります。これらの取り組みにより、個人のキャリア形成と企業の技術力向上を同時に実現し、持続的な競争優位を確立することが可能になります。

 

まとめ

施工管理における工程表は、単なるスケジュール管理ツールから、企業の競争力を決定する戦略的資産へと進化しています。本記事で解説した通り、効果的な工程管理を実現するためには以下の重要なポイントを押さえることが必要です。

今後、建設業界では働き方改革の推進と生産性向上が急務となっており、工程管理の高度化は避けて通れない課題です。一方で、適切に導入を進めることで、業務効率化、コスト削減、品質向上を同時に実現でき、持続可能な企業経営の基盤を構築できます。まずは現在の工程管理方法を見直し、Excelテンプレートの活用や運用ルールの整備など、できることから段階的に改善を始めてみてください。小さな改善の積み重ねが、やがて大きな競争優位をもたらすことになるでしょう。

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